セット内容
- 下請法対応 発注書面(3条書面)フォーマット Word形式
- 下請法対象取引の判定チェックリスト(資本金区分・取引類型)
- 記載必須項目一覧
こんな場面で
下請事業者・フリーランスに発注する製造業・IT企業の購買・法務担当が、下請法上の書面交付義務に対応したい場面。
特長
- 下請法3条で求められる記載事項(給付内容・下請代金額・支払期日等)を網羅
- 資本金区分による下請法対象の該非判定手順を整理
- 発注書・注文書テンプレート(oki-kabuhatsuchusho-tekiyo)と組み合わせて利用可能
下請法対応 発注書面(3条書面)(監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: shitauke-taio-hachusho / 価格: 2,980円 / 立場バージョン: 発注企業向け
下請事業者・フリーランスに製造委託、修理委託、情報成果物作成委託(ソフトウェア開発等)又は役務提供委託を行う親事業者(下請代金支払遅延等防止法上の「親事業者」)が、同法第3条に基づき交付が義務付けられている書面(いわゆる「3条書面」)を作成する場面を想定する。あわせて、資本金区分による下請法の適用対象(該非)を判定するためのチェックリスト、及び同法第4条の禁止行為の概要を収録し、購買・法務担当が発注実務で迷いやすい論点を整理する。本書面は発注書・注文書テンプレート(oki-kabuhatsuchusho-tekiyo)と組み合わせての利用を想定しており、必要事項を単独の3条書面として交付する形式でも、既存の注文書に補記する形式でも対応できるよう項目を独立させて構成している。
第1部: 3条書面の記載事項一覧(必須記載事項フォーマット)
下請代金支払遅延等防止法第3条は、親事業者が下請事業者に製造委託等をした場合、直ちに下請事業者の給付の内容、下請代金の額その他の事項を記載した書面を交付しなければならないと定める。具体的な記載事項は、公正取引委員会規則「下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則」(以下「3条規則」という。)に定められており、本テンプレートは同規則に定める記載事項を表形式で網羅している。
1-1. 記載必須項目表
| No. | 記載事項 | 記載欄(記入例) | 3条規則上の根拠 |
|---|---|---|---|
| (1) | 発注事業者(親事業者)及び受注事業者(下請事業者)の名称(氏名)等 | 甲:株式会社〇〇〇〇(本店所在地:〇〇〇〇) 乙:〇〇〇〇(住所:〇〇〇〇) | 規則1条1号 |
| (2) | 発注年月日 | 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日 | 規則1条2号 |
| (3) | 給付の内容 | 品名・仕様・数量、又は委託する情報成果物・役務の内容を具体的に記載(別紙「発注内容明細」参照) | 規則1条3号 |
| (4) | 給付を受領する期日(役務提供委託の場合は役務が提供される期日又は期間) | 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日(納品場所到着日) | 規則1条4号 |
| (5) | 給付を受領する場所 | 〇〇〇〇(納品先住所) | 規則1条5号 |
| (6) | 給付の内容について検査をする場合はその検査を完了する期日 | 給付受領後〇〇日以内 | 規則1条6号 |
| (7) | 下請代金の額(算定方法による記載を含む) | 金〇〇〇〇円(消費税別)、又は算定方法:〇〇〇〇 | 規則1条7号 |
| (8) | 下請代金の支払期日 | 給付受領日から起算して〇〇日以内(60日を超えないこと) | 規則1条8号 |
| (9) | 手形を交付する場合は、手形の金額(下請代金の額のうち手形により支払う金額)及び手形の満期 | 該当する場合のみ記載。手形金額:金〇〇〇〇円、満期:〇〇〇〇年〇〇月〇〇日 | 規則1条9号 |
| (10) | 一括決済方式により支払う場合の金融機関名、貸付け又は債権譲渡が可能となる期日等 | 該当する場合のみ記載 | 規則1条10号 |
| (11) | 電子記録債権により支払う場合の電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日 | 該当する場合のみ記載 | 規則1条11号 |
| (12) | 原材料等を有償支給する場合は、当該原材料等の品名・数量、支給日、支給場所、有償支給に係る対価及びその決済期日・決済方法 | 該当する場合のみ記載 | 規則1条12号 |
1-2. 記載例サンプル文言(製造委託の例)
発注書面(下請代金支払遅延等防止法第3条書面)
1. 発注事業者 株式会社〇〇〇〇(資本金〇〇〇〇円、本店所在地:〇〇〇〇)
2. 受注事業者 〇〇〇〇(住所:〇〇〇〇)
3. 発注年月日 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
4. 給付の内容 別紙「発注内容明細」記載の部品〇〇〇〇(型番〇〇〇〇)〇〇個
5. 納期(受領期日) 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
6. 納品場所 〇〇〇〇工場
7. 検査完了期日 納品後〇〇日以内
8. 下請代金の額 金〇〇〇〇円(消費税別途)
9. 支払期日 納品検収後〇〇日以内(給付受領日から起算して60日を超えない期日とする。)
10. 支払方法 銀行振込(手形を交付する場合は別途手形の金額及び満期を記載)
11. その他 原材料等を有償支給する場合は、品名・数量・支給日・対価・決済期日等を別紙に記載する。
1-3. 資本金区分による下請法対象取引の該非判定チェックリスト
下請法の適用の有無は、委託の内容(取引類型)と親事業者・下請事業者双方の資本金額の組み合わせにより判定される。発注前に以下のチェックリストで該非を確認する。
(A)製造委託・修理委託の場合 - 親事業者の資本金が3億円超 → 下請事業者の資本金が3億円以下(個人を含む)であれば下請法の対象 - 親事業者の資本金が1千万円超3億円以下 → 下請事業者の資本金が1千万円以下(個人を含む)であれば下請法の対象
(B)情報成果物作成委託・役務提供委託の場合(プログラム作成を除く一部を除き、原則としてBの区分) - 親事業者の資本金が5千万円超 → 下請事業者の資本金が5千万円以下(個人を含む)であれば下請法の対象 - 親事業者の資本金が1千万円超5千万円以下 → 下請事業者の資本金が1千万円以下(個人を含む)であれば下請法の対象
(注)プログラムの作成に係る情報成果物作成委託は、資本金区分は製造委託と同じ(A)の区分(3億円超/1千万円超3億円以下)が適用される点に留意する。
- [ ] 委託内容が「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」のいずれに該当するか特定したか
- [ ] 自社(発注側)の資本金区分を確認したか
- [ ] 相手方(受注側)の資本金区分(個人事業主の場合は資本金の定めがないため区分上「1千万円以下」相当として扱われる点)を確認したか
- [ ] 委託内容がプログラム作成を含む場合、資本金区分をAの基準で判定し直したか
- [ ] 自社が他社から製造委託等を受けた業務の全部又は一部を第三者に再委託する場合(いわゆる「トンネル会社」規制の対象とならないか)を確認したか
- [ ] 該当する場合、3条書面の交付・下請代金支払遅延等防止法上の書類保存義務(同法第5条)の対応を開始したか
- [ ] 該当する場合、支払遅延等防止法上の遅延利息(年14.6%、同法第4条の2)の起算点・計算方法を社内規程に反映したか
1-4. 取引類型ごとの委託内容の考え方(該非判定の補助)
3条書面を作成する前提として、委託内容がそもそも下請法上の4類型(製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託)のいずれに該当するかを特定する必要がある。以下は簡易な整理である。
| 取引類型 | 典型例 | 留意点 |
|---|---|---|
| 製造委託 | 部品・製品の製造、規格品の加工委託 | 自社で使用する物品の製造も対象になり得る |
| 修理委託 | 自社が業として請け負う物品の修理の全部又は一部を委託する場合等 | 自社使用物品のみの修理委託は対象外となる場合がある |
| 情報成果物作成委託 | ソフトウェア開発、設計図、広告デザイン、コンテンツ制作等 | プログラム作成は資本金区分がAの基準(製造委託と同じ) |
| 役務提供委託 | 運送、ビルメンテナンス、コールセンター業務等の役務提供の再委託 | 自社が直接提供する役務ではなく、他社から受託した役務の再委託であることが前提となる類型がある点に注意 |
1-5. 該非判定の簡易ケーススタディ
実務で判断に迷いやすい例を以下に示す。あくまで一般的な考え方の整理であり、個別事案の該非は最終的に公正取引委員会・中小企業庁の解釈及び弁護士の判断による。
-
ケース1: 資本金2,000万円の発注企業が個人事業主のデザイナーにロゴ制作を委託する場合 情報成果物作成委託(プログラム作成以外)に該当し、親事業者の資本金が1千万円超5千万円以下、下請事業者(個人)が1千万円以下相当に該当するため、下請法の対象となる可能性が高いと考えられる。
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ケース2: 資本金8,000万円のSler企業が資本金3,000万円のソフトウェア会社にシステム開発の一部を再委託する場合 プログラム作成に係る情報成果物作成委託であるため、資本金区分は製造委託と同じ基準(3億円超/1千万円超3億円以下)が適用される。この場合、親事業者の資本金が1千万円超3億円以下、下請事業者の資本金も1千万円超であるため、下請事業者側の資本金が3億円を超えない限り対象となり得る(本ケースでは対象となる可能性が高い)。
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ケース3: 資本金5億円の製造業が資本金50万円の個人事業主に部品加工を委託する場合 製造委託に該当し、親事業者の資本金が3億円超、下請事業者の資本金が3億円以下(個人)であるため、下請法の対象となる可能性が高い。
第2部: 取引類型別カスタマイズパターン
A. 製造委託取引向けの記載例パターン
A-1. 給付の内容(項目3)を仕様書・図面番号で特定
記載例: 「給付の内容 別紙図面番号〇〇〇〇及び仕様書〇〇〇〇に基づく部品〇〇〇〇 数量〇〇個」
解説: 製造委託では、給付内容を図面・仕様書番号まで特定して記載することで、後日の検収トラブルや「不当な給付内容の変更・やり直し」(下請法4条2項4号)の疑義を避けやすくなる。仕様書自体を書面の別紙として添付することが望ましい。
A-2. 検査完了期日(項目6)を明確な日数で規定
記載例: 「検査完了期日 給付受領日から起算して10日以内」
解説: 製造委託では受入検査の実施が一般的であるため、検査完了期日を具体的な日数で明示する。検査の有無にかかわらず、支払期日(60日ルール)の起算点は「給付を受領した日」であり、検査完了日ではない点に注意が必要である(第3部参照)。
A-3. 原材料等の有償支給がある場合の対価決済期日の明記
記載例: 「有償支給原材料 品名〇〇〇〇、数量〇〇、支給日〇〇〇〇年〇〇月〇〇日、対価 金〇〇〇〇円、決済期日 下請代金の支払期日と同日」
解説: 有償支給原材料等の対価を下請代金の支払期日よりも早期に決済させることは、下請法4条2項1号(有償支給原材料等の対価の早期決済)に抵触するおそれがあるとされ、実務上は下請代金の支払期日以降に決済することが安全である。
A-4. 手形払いを行う場合の割引困難性への配慮
記載例: 「支払方法 現金〇割・手形〇割。手形サイトは〇〇日以内とする。」
解説: 割引を受けることが困難であると認められる手形を交付することは、下請法4条2項2号の禁止行為(割引困難な手形の交付)に該当するおそれがある。近年は手形払いそのものの見直しが政策的に求められており、可能な限り現金払い又は電子記録債権による支払への移行を検討することが望ましいと解される。
A-5. 金型・治具等の保管を委託する場合の付随記載
記載例: 「甲が乙に無償で保管させる金型・治具等がある場合、その品名・数量及び保管条件を別紙「金型保管明細」に記載する。」
解説: 製造委託の終了後も親事業者の要請により金型等を無償で長期間保管させ続ける行為は、下請法上の「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するおそれがあるとされる。3条書面段階で保管条件(保管期間、返還・廃棄の手続)を明確にしておくことで、後日の負担の所在に関する紛争を予防しやすくなる。
B. 情報成果物作成委託(ソフトウェア開発等)・役務提供委託向けの記載例パターン
B-1. 給付の内容(項目3)を仕様書・要件定義書で特定
記載例: 「給付の内容 別紙要件定義書〇〇〇〇(version〇〇)に基づくソフトウェアモジュール〇〇〇〇の設計・開発・単体テスト一式」
解説: ソフトウェア開発等の情報成果物作成委託では、給付内容を要件定義書・仕様書の版数まで特定して記載することが望ましい。仕様変更が頻発する開発形態(アジャイル開発等)では、変更の都度、給付内容の合意内容を記録した別紙を追加していく運用が実務上とられることが多い。
B-2. 役務提供委託における「給付を受領する期日」の読み替え
記載例: 「役務が提供される期日(期間) 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇〇〇年〇〇月〇〇日まで、月次で稼働報告書を提出するものとする。」
解説: 役務提供委託の場合、物の引渡しを伴わないため、3条規則上の「給付を受領する期日」は「役務が提供される期日」又は「期間」に読み替えて記載する。継続的な役務提供では、支払期日の起算点(役務提供日)を明確にするため、月次締め・検収の運用ルールを記載しておくことが望ましい。
B-3. 検査完了期日に代わる「確認・検収」プロセスの明記
記載例: 「検収完了期日 成果物(納品物)受領後14日以内。当該期間内に甲から書面による指摘がない場合は検収完了とみなす。」
解説: 情報成果物の場合、外形的な「検査」になじまないことがあるため、確認・検収プロセスとして規定することが多い。検収完了期日が定まらない、又は検収を行わない場合であっても、支払期日の起算点は給付を受領した日(成果物の納品日)である点に変わりはない(第3部・第4部参照)。
B-4. 二次利用・再委託がある場合の追加記載
記載例: 「本委託に係る成果物についてクラウドサービス上での二次利用を予定する場合、別途対価を協議する。乙が本業務の一部を第三者に再委託する場合、再委託先の名称等を甲に通知するものとする。」
解説: 情報成果物作成委託では、知的財産権の帰属・二次利用条件について3条書面と併せて業務委託契約書側で手当てすることが一般的である。3条書面は下請法上の必須記載事項に特化した書面であるため、知財条項等は別途契約書(
gyomu-itaku-junin等)で規定することを推奨する。
B-5. 継続的な役務提供委託における個別発注の簡略化
記載例: 「本書面は基本契約に基づく個別発注の3条書面を兼ねるものとし、給付内容・数量・単価等は毎月の個別発注書(別途電磁的方法により通知)により特定する。」
解説: 継続的な取引では、個別の発注ごとに3条書面のフルセットを都度作成することが煩雑になりやすい。基本契約書に共通条件を定めたうえで、個別発注時に変動する事項(給付内容・数量・単価・納期等)のみを都度通知する運用が広く行われているが、この場合であっても、個別発注の都度、3条書面としての記載事項を満たす通知が必要である点に留意する。
B-6. 検収基準・仕様適合性の判定方法の明記(情報成果物特有の紛争予防)
記載例: 「検収基準 別紙テスト仕様書〇〇〇〇に定めるテスト項目に合格することをもって検収完了とする。テスト項目に定めのない不具合の取扱いについては甲乙別途協議する。」
解説: ソフトウェア開発等の情報成果物作成委託では、「仕様に適合しているか」の判断基準があいまいなまま検収・支払期日をめぐる争いに発展しやすい。検収基準をテスト仕様書等の客観的な基準に紐付けて記載しておくことで、検査完了期日(項目(6))の起算・判定を明確にしやすくなる。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
3条書面の趣旨(項目(1)〜(12)全体) 下請法第3条は、親事業者が下請事業者に発注する際、取引条件を曖昧にしたまま口頭発注を行うことで生じやすい後日の代金トラブル・支払遅延・買いたたき等を防止するため、書面による交付を義務付けたものである。書面の交付は「直ちに」行うことが原則とされ、正当な理由により一部事項を記載できない場合には、その理由及び記載できなかった事項を記載した書面(補充書面)を後日改めて交付する運用(当初書面・補充書面方式)が認められている。
「直ちに」交付する義務と発注実務の関係 3条書面は、給付の内容を「直ちに」書面で明確化させることで、口頭発注によって生じやすい認識齟齬を防ぐ趣旨であるため、正式な契約書の締結や見積確定を待ってから書面を交付するという運用は、下請法上の要請と整合しない場合がある。実務上は、発注担当者が口頭又はメールで委託内容を伝達した時点で、並行して3条書面(本テンプレート相当)を交付するフローを社内で徹底することが望ましいと考えられる。
資本金区分による該非判定(第1部1-3) 下請法の適用対象となるか否かは、委託内容の類型(製造委託・修理委託/情報成果物作成委託・役務提供委託)ごとに異なる資本金基準で判定される。プログラムの作成が情報成果物作成委託の一類型でありながら製造委託と同じ資本金区分(3億円超/1千万円超3億円以下)が適用される点は誤りやすいポイントであり、社内発注フローにおいてもチェックリスト化して周知することが実務上有用である。個人事業主・フリーランスへの発注の場合、資本金の定めがないため、資本金区分上は原則として「資本金1千万円以下の下請事業者」と同様に扱われ、親事業者側の資本金基準のみで該非が決まる点にも留意が必要である。
下請代金の支払期日(項目(8)・下請法2条の2) 下請代金の支払期日は、給付を受領した日(役務提供委託の場合は役務が提供された日)から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間内に定めなければならない(下請法2条の2)。検査を行う場合であっても、検査の完了を待って支払期日を起算することは認められておらず、検査に日数を要する場合には、その分、支払期日までの実質的な猶予期間が短くなる点に注意が必要である。この点はフリーランス新法上の60日払い義務(第4条2項)と基本的に同じ考え方をとっており、下請法とフリーランス新法の双方が適用され得る取引では、いずれか一方さえ守れば足りるものではなく双方の要件を満たす必要があると解される。
下請法4条の禁止行為との関係 下請法4条は、親事業者が下請事業者に対して行ってはならない行為として、受領拒否(1項1号)、下請代金の支払遅延(1項2号)、下請代金の減額(1項3号)、返品(1項4号)、買いたたき(1項5号)、購入・利用強制(1項6号)、報復措置(1項7号)、有償支給原材料等の対価の早期決済(2項1号)、割引困難な手形の交付(2項2号)、不当な経済上の利益の提供要請(2項3号)、不当な給付内容の変更・やり直し(2項4号)の11類型を列挙している。3条書面自体はこれらの禁止行為を直接規律するものではないが、給付内容・下請代金の額・支払期日等をあらかじめ書面で明確にしておくことは、後日「買いたたき」や「不当な給付内容の変更」の疑義が生じた際の重要な証拡になるため、書面記載の充実は禁止行為リスクの低減にも資すると考えられる。
手形・一括決済方式・電子記録債権による支払(項目(9)〜(11)) 手形・一括決済方式(ファクタリング等を利用した支払スキーム)・電子記録債権のいずれかにより下請代金を支払う場合、3条規則はそれぞれ追加の記載事項を定めている。特に手形払いについては、下請事業者が実質的に早期資金化できない長いサイトの手形が問題視されやすく、公正取引委員会・中小企業庁の運用上、手形サイトの短縮・現金払いへの移行が指導の対象となる傾向がある点を踏まえ、可能な限り現金又は電子記録債権による支払を検討することが望ましいと考えられる。
原材料等の有償支給(項目(12)) 親事業者が下請事業者に原材料等を有償で支給する場合、その対価を下請代金の支払期日より早い時期に決済させる、又は下請代金の額から一方的に控除することは、下請法4条2項1号の禁止行為に該当するおそれがある。3条書面の段階で決済期日を下請代金の支払期日以降に設定しておくことが、後日の紛争予防として有用である。
書類の作成・保存義務(下請法5条)との関係 親事業者は、3条書面の交付にとどまらず、下請取引の内容を記載した書類(いわゆる「5条書類」)を作成し、これを2年間保存する義務を負う(下請法5条)。3条書面自体は5条書類の一部を構成し得るが、実際の支払日・検査結果等、発注後に確定する事項については、3条書面とは別に取引記録として保存する体制を整える必要がある。本テンプレートの記載事項表(第1部1-1)は、5条書類の記載事項とも重なる部分が多いため、社内の受発注管理システムの記録項目を設計する際の参考にもなり得る。
トンネル会社規制との関係 自社が他の事業者から製造委託等を受けた業務の全部又は再委託の形式的な転嫁にすぎないと認められる再委託(いわゆる「トンネル会社」)を行う場合、資本金区分にかかわらず下請法が適用されるものとみなされる規定がある(下請法2条9項・10項)。発注書面を作成する担当者は、自社の受託内容と再委託内容が実質的に同一でないかを併せて確認することが望ましい。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 電子的方法(EDI・電子メール等)による3条書面の交付について、下請法上は下請事業者の事前の承諾(書面又は電磁的方法による承諾)を得ることが要件とされているため、テンプレートに承諾取得の記載欄(承諾日・承諾方法)を追加すべきか確認いただきたい。
- 検査完了期日(項目(6))の記載が困難な取引(検収プロセスを設けない継続的な役務提供委託等)について、記載を省略できる場合の要件及び代替的な記載方法(検収みなし規定等)を確認いただきたい。
- 有償支給原材料等に関する記載(項目(12))について、原材料等の有償支給を行わない取引が大半を占める購入者層を想定した場合、当該項目を「該当なし」欄として簡略化してよいか、それとも全事例で有償支給の有無を明示的にチェックさせる形式を維持すべきか確認いただきたい。
- 資本金区分の判定チェックリスト(第1部1-3)について、資本金以外の出資の総額による判定(会社以外の法人の場合)や、外国法人が発注者となる場合の資本金相当額の算定方法など、判定が困難なケースの取扱いを補足すべきか確認いただきたい。
- プログラムの作成に係る情報成果物作成委託について、委託内容の一部にプログラム作成、残りに非プログラムの情報成果物作成が混在する場合の資本金区分の適用方法(按分か、主たる部分による判定か)を確認いただきたい。
- 手形払いに関する記載例(第2部A-4)について、近年の下請代金支払手段に関する政策動向(手形サイトの短縮要請、将来的な手形払い廃止の方向性等)を踏まえ、テンプレート上の推奨支払手段の記載順序・表現を見直すべきか確認いただきたい。
- 当初書面・補充書面方式(正当な理由により一部記載事項を後日交付する運用)について、本テンプレートに補充書面のひな形を追加収録すべきか、それとも別商品として切り出すべきか確認いただきたい。
- 下請法とフリーランス新法の双方が適用され得る取引(資本金区分・特定受託事業者要件の双方を満たす場合)について、3条書面の記載事項とフリーランス新法上の取引条件明示事項に齟齬が生じないよう、購入者向けの注意書きを本書面に追加すべきか確認いただきたい。
- 金型・治具等の無償保管(第2部A-5)について、下請法上の「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するか否かの判断基準(保管期間の長短、返還請求の可否等)をテンプレートの解説文にどこまで具体的に記載すべきか確認いただきたい。
- トンネル会社規制(下請法2条9項・10項、第3部)について、購入者が自社の受託内容の一部を再委託する場面を想定した簡易な判定フローをチェックリストに追加すべきか、それとも別商品(下請法該非判定チェックリスト単体商品等)として切り出すべきか確認いただきたい。