セット内容
- 秘密保持誓約書(従業員用・入社時提出用)Word形式
- 競業避止条項(簡易版)の解説
- 運用上の注意点まとめ(提出タイミング・保管方法)
こんな場面で
中途採用が多いスタートアップ・IT企業が、入社時に従業員から秘密保持の誓約を取得したい場面。退職時の情報漏洩トラブルを予防したい場面。
特長
- 取引先向けNDA(nda-basic)とは別に「対従業員」の秘密保持義務を明文化
- 在職中・退職後それぞれの秘密保持義務を区別して規定
- 誓約書(入社時・一般)(jinji-mikomisho)とあわせて入社手続き書類として利用可能
秘密保持誓約書(従業員用)(監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: juyoin-hiitsuho-seiyaku / 価格: 1,480円 / 立場バージョン: 使用者側
本ドラフトは、入社時に従業員から使用者へ提出させる秘密保持誓約書の書式を第1部に掲載し、第2部で職種・取得タイミングに応じた修正パターンを提示する構成とする。在職中の秘密保持義務に加え、退職後の秘密保持義務及び抑制的な競業避止条項を含む。対取引先とのNDA(本ストアの別商品「秘密保持契約書(NDA)標準版」)とは、名宛人が従業員である点及び労働契約に付随する義務である点で性質が異なる。
本商品は「秘密保持誓約書」という限定的な用途に特化した中価格帯の商品であるため、一般的な服務誓約(別商品「誓約書(入社時・一般)」)とは重複を避け、秘密情報の取扱いに関する条項を手厚く収録する構成としている。
第1部: 本文全文
秘密保持誓約書
〇〇〇〇株式会社 御中
私は、貴社に入社するにあたり、貴社の業務上の秘密情報の取扱いについて、下記のとおり誓約いたします。
1. 秘密情報の定義
本誓約書において「秘密情報」とは、貴社の技術上・営業上その他事業上の一切の情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいいます。
(1)貴社が秘密である旨を明示して私に開示又は貴社が保有させた情報
(2)貴社の営業秘密(不正競争防止法2条6項に定めるものをいう。)に該当する情報
(3)顧客情報、取引先情報、価格情報、技術情報、研究開発情報、ノウハウその他性質上秘密として扱われるべきことが明らかな情報
(4)その他貴社が秘密として管理している情報
ただし、次の各号のいずれかに該当する情報は秘密情報に含まれないものとします。
(1)開示を受けたときに既に公知であった情報
(2)開示を受けた後、私の責めに帰さない事由により公知となった情報
(3)正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に取得した情報
2. 目的外使用の禁止
私は、業務上知り得た秘密情報を、貴社における自己の職務遂行の目的以外に使用いたしません。
3. 第三者への開示の禁止
私は、貴社の事前の書面による承諾を得ることなく、秘密情報を第三者に開示又は漏えいいたしません。
4. 複製及び持ち出しの制限
私は、業務上必要な範囲を超えて秘密情報を複製せず、また貴社の許可なく秘密情報が記録された媒体(電磁的記録を含む。)を社外に持ち出しません。
5. 秘密情報の管理
私は、秘密情報を善良な管理者の注意をもって管理し、貴社の定める情報セキュリティに関する規程その他の諸規程を遵守いたします。
6. 退職時の返還及び消去
私は、退職その他の事由により貴社の従業員でなくなるとき、貴社から開示又は貸与を受けた秘密情報及びその複製物(記録媒体を含む。)を速やかに貴社に返還し、又は貴社の指示に従い消去若しくは廃棄いたします。私物の記録媒体等に保存された秘密情報についても同様に消去いたします。
7. 在職中の競業避止
私は、在職中、貴社の事前の書面による承諾を得ることなく、貴社の事業と競合する事業を自ら営み、又は競合する他の事業者の役員若しくは従業員として当該事業に従事いたしません。
8. 退職後の秘密保持義務の存続
私は、退職後においても、前各項に定める秘密情報に関する義務(第2項から第5項までの義務をいう。)を負い続けることを誓約いたします。
9. 退職後の競業避止に関する努力義務
私は、退職後〇年間、在職中の職務を通じて知り得た秘密情報を利用して、貴社の事業と直接競合する事業を自ら営み、又はこれに従事することのないよう努めます。ただし、本項は私の職業選択の自由を不当に制限する趣旨のものではなく、その適用にあたっては、私の退職時における地位、担当業務の内容、代償措置の有無その他の事情が考慮されるものとします。
10. 発明・考案等の取扱い
業務に関連して私が行った発明、考案その他の知的財産に関する権利の帰属及び取扱いについては、貴社の職務発明規程その他の諸規程の定めるところによります。
11. 誓約違反時の措置
私は、本誓約書の各事項に違反した場合、貴社就業規則の定めるところにより懲戒処分を受け、また、これにより貴社に生じた損害を賠償する責めを負うことがあることを承知しております。
以上のとおり相違ないことを誓約いたします。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
住所 氏名 印
〇〇〇〇株式会社 御中
第2部: 職種・取得タイミング別修正パターン
本商品は使用者側単一の立場を前提とするため、職種の性質及び誓約書取得のタイミングに応じた修正パターンを以下に示す。秘密情報に接する頻度・重要度は職種によって大きく異なるため、全従業員に一律の内容を適用するのではなく、職種区分に応じて記載密度を調整する運用が実務上望ましいとされる。
A. 一般職向け(標準版・軽め)
第1部の本文をそのまま用いる。営業秘密に日常的に接する機会が限定的な一般事務職・販売職等を想定した標準的な内容としている。
B. 技術職・研究開発職向け(厚め)
B-1. 秘密情報の定義(第1項)への追記
追加条文例(第1項各号に追加): 「(5)研究開発の過程で生じた実験データ、設計図、ソースコード、試作品その他の技術情報 (6)特許出願前の発明及び考案の内容」
解説: 技術職・研究開発職では、特許出願前の発明内容が最も保護価値の高い情報となることが多いため、秘密情報の定義に明示的に含めることが望ましい。特許出願前に情報が漏えいすると新規性を喪失し特許を受けられなくなるリスクがあるため、通常の営業情報以上に厳格な管理が求められる。
B-2. 研究ノート・実験データの管理条項の追加
追加条文例: 「私は、研究開発の過程で作成した研究ノート、実験データ、設計図その他の記録を、貴社の定める研究記録管理規程に従って作成・保管し、貴社の許可なく社外に持ち出し、又は複製いたしません。」
解説: 営業秘密の3要件(秘密管理性・有用性・非公知性)のうち秘密管理性を確保する観点から、研究記録の作成・保管ルールを誓約書レベルでも確認しておくことが望ましい。
B-3. 発明対価・職務発明条項の充実化
修正後(第10項の充実版): 「業務に関連して私が行った発明、考案、意匠の創作その他の知的財産に関する権利は、貴社の職務発明規程の定めるところにより貴社に帰属し、又は貴社に承継されるものとし、私は当該規程に定める手続に従い相当の利益を受けるものとします。」
解説: 特許法35条に基づき、職務発明について使用者があらかじめ特許を受ける権利を取得する旨を規程で定めることができるが、その場合は発明者である従業員に相当の利益を与えることが必要である。技術職向けでは、職務発明規程の存在及び内容を前提とした具体的な記載にすることが望ましい。
C. 在職中提出用と退職時提出用の違い
C-1. 在職中(入社時)提出用(標準版)
第1部の本文をそのまま用いる。将来にわたる在職中及び退職後の義務をあらかじめ確認する内容である。
C-2. 退職時に改めて取得する誓約書への修正
修正後の考え方: 前文を「私は、貴社を退職するにあたり、下記のとおり誓約いたします。」に変更し、第7項(在職中の競業避止)は既に効力を終えているため削除する。第6項(退職時の返還及び消去)は、返還・消去が完了した旨を確認する事後確認的な文言(「私は、本日までに貴社から開示又は貸与を受けた秘密情報及びその複製物を全て返還し、又は消去したことを確認いたします。」)に修正する。第9項(退職後競業避止)は、退職時点の担当業務・地位を踏まえて期間・範囲を個別に調整することが望ましい。
解説: 入社時に取得した誓約書のみに依拠するのではなく、退職時に改めて秘密保持・競業避止に関する誓約書を取得する運用は、退職者本人に義務内容を再確認させる効果があり、実務上広く行われている。特に営業秘密に日常的に接していた従業員や、退職後に競合他社への転職・独立が見込まれる従業員については、退職時誓約書の取得を検討する意義が大きいと考えられる。ただし、退職時点で新たに秘密保持義務を追加的に課すことは、当該従業員の同意なくして一方的に行うことはできない点に留意する必要がある。
D. 情報漏えい発覚時の対応協力義務の追加(オプション条項)
D-1. 標準版(対応協力条項なし)
第1部の本文をそのまま用いる。
D-2. 情報漏えい発覚時の対応協力義務を追加する場合
追加条文例: 「12. 私は、私の関与が疑われる秘密情報の漏えい又はそのおそれが判明した場合、貴社の求めに応じて、事実関係の調査に協力し、使用した機器・記録媒体の提出その他貴社が合理的に求める調査協力を行います。」
解説: 情報漏えいが疑われる事案が発生した際、当該従業員(元従業員を含む。)から任意の調査協力が得られないと事実確認が難航することが多い。あらかじめ調査協力義務を誓約書に明記しておくことで、調査への協力を求めやすくする効果が期待できる。ただし、本条項はあくまで任意の調査協力を求める根拠にとどまり、強制的な提出命令等の法的効果を生じさせるものではない点に留意する必要がある。営業秘密の管理体制(秘密管理性の要件)を補強する目的で、情報管理規程やアクセスログ管理と併せて運用することが望ましい。
E. 役員・管理職(秘密情報への接触度が特に高い者)向けの追記
E-1. 一般従業員向け(標準版)
第1部の本文をそのまま用いる。
E-2. 役員・管理職向けの追記
追加条文例: 「13. 私は、役職上、経営情報、人事情報、財務情報その他会社の重要な意思決定に関する情報に接する機会が多いことを踏まえ、これらの情報について特に厳重な管理を行うこと、また部下その他の従業員による秘密情報の漏えいを認識した場合には、速やかに貴社所定の窓口に報告することを誓約いたします。」
解説: 役員・管理職は一般従業員に比べて秘密情報への接触範囲が広く、また部下の情報管理を監督する立場にもあるため、標準的な誓約事項に加えて監督責任的な要素を盛り込む例がある。特に、退職後に競合他社の役員に就任する、又は自ら競合事業を立ち上げるといった事例では、退職後競業避止条項(第9項)の実効性がより強く問題になりやすいため、役員・管理職向けには代償措置(役員退職慰労金の一部を競業避止の対価と位置づける等)とあわせて検討することが望ましい。もっとも、代償措置の設計は税務・会社法上の論点も伴うため、誓約書のみで完結させず、役員規程・退職慰労金規程等との整合を確認する必要がある。
F. 業務委託先・フリーランスへの準用可否
F-1. 従業員向け(標準版)
第1部の本文をそのまま用いる。本誓約書は、貴社と雇用契約関係にある従業員を対象とする書式である。
F-2. 業務委託先・フリーランスへの準用に関する留意点
解説(修正条文例ではなく運用上の留意点): 本誓約書は労働契約に付随する義務として構成されており、退職後競業避止に関する努力義務(第9項)等、労働契約関係の存在を前提とした条項を含む。業務委託契約に基づき役務を提供するフリーランス・業務委託先の担当者に対して秘密保持を求める場合は、本誓約書をそのまま準用するのではなく、業務委託契約書に秘密保持条項を組み込むか、又は別途秘密保持契約(NDA)を締結する方法によることが一般的である。特に、フリーランス・業務委託先は貴社の指揮命令に服する労働者ではないため、競業避止義務を課す場合の考慮要素(独占禁止法上の優越的地位の濫用規制、フリーランス新法上の禁止行為との関係等)が従業員の場合と異なる点に注意が必要である。
G. 秘密保持誓約書と就業規則・情報セキュリティ規程との関係整理
G-1. 標準版(誓約書のみで運用)
第1部の本文をそのまま用いる。
G-2. 情報セキュリティ規程と連動させる場合の追記
追加条文例: 「12. 私は、貴社が定める情報セキュリティ規程その他秘密情報の管理に関する諸規程を確認し、これらに定めるアクセス権限の範囲、パスワード管理、社外からのアクセスに関するルールその他の情報管理ルールを遵守いたします。」
解説: 秘密保持誓約書のみで秘密情報の管理体制を完結させることは難しく、実際のアクセス制御、ログ管理、外部記録媒体の利用制限等は情報セキュリティ規程等の社内規程で定めることが前提となる。誓約書上に規程遵守義務を明記することで、誓約書と規程との連動関係を明確にし、規程違反があった場合に誓約書違反としても構成しやすくなる効果が期待できる。ただし、規程の内容自体が整備されていなければ本条項も実効性を欠くため、誓約書の導入と並行して情報セキュリティ規程の整備状況を確認することが望ましい。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
前文 秘密保持誓約書は、労働契約に付随する義務として、労働者から使用者へ一方的に提出される書面である。対取引先との間で締結する秘密保持契約(NDA)は、対等な当事者間で相互に義務を課す双務契約として構成されることが多いのに対し、本誓約書は使用者・労働者間の労働契約関係を前提とした従業員個人の義務確認書面である点が異なる。名宛人が「取引先」ではなく「従業員」であることから、退職後の競業避止義務のように、労働者の職業選択の自由との調整が必要な条項を含む点も対取引先NDAとの大きな相違点である。実務上は、入社時に本誓約書を取得することに加え、秘密情報へのアクセス権限が拡大する昇格・異動のタイミングで改めて誓約書を取得する運用や、重要プロジェクトへの参画時に個別の誓約書を追加取得する運用も見られる。
誓約書単体の効力には限界があり、営業秘密としての法的保護(不正競争防止法上の差止請求・損害賠償請求)を確保するためには、誓約書の取得と並行して、秘密情報の管理体制(アクセス制限、秘密表示、記録媒体の管理等)を実際に整備しておくことが前提となる。誓約書は、あくまで従業員本人の意識付けと、違反時の懲戒処分等の根拠を確認する機能を果たすものと位置づけることが実務的である。
なお、退職後競業避止条項を含む誓約書は、労働者の職業選択の自由という重要な権利を制約し得る書面であるため、交付にあたっては記載内容を口頭でも説明し、労働者が内容を理解した上で署名するよう配慮することが望ましい。理解の機会を欠いたまま形式的に署名を取得するのみの運用は、後日の紛争において当該条項の有効性が争われる要因になりかねない。
1. 秘密情報の定義 不正競争防止法上の「営業秘密」(同法2条6項)に該当する情報を含みつつ、それより広い範囲の情報を対象とする定義としている。もっとも、誓約書上で秘密情報として定義しただけでは当然に不正競争防止法上の保護を受けられるわけではなく、同法上の営業秘密として保護を受けるためには、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たす社内の情報管理体制(アクセス制限、秘密表示、規程整備等)を別途整えておく必要がある。
2. 目的外使用の禁止・3. 第三者への開示の禁止 秘密保持義務の中核部分。在職中はもちろん、退職後も第8項により存続する構成としている。
4. 複製及び持ち出しの制限 私物端末やクラウドストレージへの秘密情報の保存が「持ち出し」に該当し得る点は、テレワークが普及した現在の実務において特に留意すべき事項である。
5. 秘密情報の管理 情報セキュリティ規程等への参照条項。誓約書単体で管理体制を構築できるものではなく、実際のアクセス権限管理、秘密表示の運用等が伴って初めて実効性を持つ。
6. 退職時の返還及び消去 退職時のトラブル防止のため明記する条項。私物端末やパーソナルクラウド等に保存されたデータの消去義務まで及ぶ旨を明記している点がポイントである。
7. 在職中の競業避止 在職中の競業避止義務は、労働契約上の誠実義務・職務専念義務の一環として一般に認められやすいとされる。事前承諾を得た兼業・副業まで一律禁止する趣旨ではない点に留意。
8. 退職後の秘密保持義務の存続 退職後の秘密保持義務については、在職中の競業避止義務とは異なり、労働契約終了後も一定の義務を存続させる特約としての性格を持つ。営業秘密に該当する情報については不正競争防止法上の保護も別途及び得るが、誓約書上で存続期間を明記しておくことで、退職者本人に義務内容を明確に認識させる意義がある。
9. 退職後の競業避止に関する努力義務 退職後の競業避止義務は、職業選択の自由(憲法22条)との関係で、在職中の競業避止義務と異なり無制限に認めることは難しいとされる。裁判例上、有効性の判断にあたっては、(1)競業避止によって守られるべき使用者の利益の有無、(2)労働者の退職前の地位、(3)競業が禁止される地域的範囲、(4)競業避止義務の存続期間、(5)禁止される競業行為の範囲、(6)代償措置の有無といった事情が総合的に考慮されるとされている。本テンプレートの第9項は、期間・範囲を限定せず「努める」という努力義務の形にとどめ、かつ職業選択の自由を不当に制限する趣旨ではない旨を明記することで抑制的な内容としているが、より強い義務(違反時の損害賠償や差止め等)を定める場合は、代償措置の有無や地位・地域・期間の限定を個別に検討する必要がある。
10. 発明・考案等の取扱い 職務発明規程への参照条項。技術職・研究開発職向けの詳細版は第2部Bを参照。
11. 誓約違反時の措置 懲戒処分・損害賠償の可能性を確認する条項。懲戒処分の発動には就業規則上の根拠規定が別途必要である点は、誓約書一般に共通する留意点である。秘密情報の漏えいによる損害額の立証は実務上容易ではないことが多く、営業秘密該当性が認められる場合には不正競争防止法上の差止請求や推定規定の活用可能性も含め、民事上の救済手段を幅広く検討することが望ましい。
第2部D. 情報漏えい発覚時の対応協力義務について 情報漏えい事案では、初動対応の速さが被害拡大の防止及び不正競争防止法上の差止請求・損害賠償請求の準備の双方において重要になる。調査協力義務を誓約書レベルで明記しておくことは、任意の協力を求める場面での心理的な牽制効果を期待するものであり、強制執行力を持つものではない点を購入者に正しく理解してもらう必要がある。
第2部E. 役員・管理職向けの追記について 役員・管理職は、秘密情報への接触範囲の広さに加え、部下の情報管理を監督する立場にあることから、一般従業員向けの誓約事項に監督責任的な要素を加える例がある。また、退職後に競合他社へ転じるリスクが一般従業員より高い層でもあるため、退職後競業避止条項の実効性を高める必要性が相対的に大きい。もっとも、代償措置を伴う実効性の高い競業避止条項を設計する場合、役員報酬・退職慰労金制度との関係、会社法上の手続(取締役の報酬決定手続等)との整合を別途確認する必要があり、誓約書のみで完結する論点ではない。
第2部F. 業務委託先・フリーランスへの準用可否について 本誓約書は労働契約に付随する義務として構成されているため、雇用契約関係にない業務委託先・フリーランスに対してそのまま適用することは想定していない。フリーランス等に秘密保持を求める場合は、業務委託契約書中の秘密保持条項又は別途のNDAによって手当てすることが一般的であり、特に競業避止義務を課す場面では、フリーランス新法上の禁止行為や独占禁止法上の優越的地位の濫用規制との関係を、従業員の場合とは別に検討する必要がある。
第2部G. 情報セキュリティ規程との関係整理について 秘密保持誓約書は、従業員に秘密情報保持の意識を持たせ、違反時の懲戒処分等の根拠を確認する機能を持つ書面であるが、実際の情報管理体制(アクセス制御、記録媒体の持ち出し制限、ログ監視等)を構築するものではない。情報セキュリティ規程その他の社内規程を誓約書と連動させることで、規程違反が誓約書違反としても構成されやすくなる一方、規程自体の整備状況が伴わなければ、誓約書の実効性も限定的なものにとどまる点に留意する必要がある。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 第9項の退職後競業避止条項について、努力義務にとどめる抑制的な記載で購入者のニーズ(実効性のある競業避止)に応えられているか、また判例上の考慮要素(代償措置の有無、地位、地域的範囲、期間等)との整合性を確認いただきたい。
- 退職後競業避止の実効性を高める場合に代償措置(退職金の上乗せ、在職中の手当等)の要否・目安をどの程度具体的に商品説明や解説に含めるべきか確認いただきたい。
- 営業秘密の3要件(秘密管理性・有用性・非公知性)を満たすための社内体制整備(アクセス制限、秘密表示、規程整備等)の必要性について、第3部の解説で十分な注意喚起になっているか確認いただきたい。
- 誓約書の証拠力を高めるための運用(本人による自署、原本の保管方法、退職時の再取得の要否等)について、購入者向けに追加すべき実務上のアドバイスがあれば確認いただきたい。
- 第1項の秘密情報の定義について、不正競争防止法上の営業秘密の定義を引用しつつ、それより広い包括的な定義を採用している点が、後日の紛争において不利に働く可能性がないか確認いただきたい。
- 第2部Bの技術職・研究開発職向け追加条項について、職務発明規程(特許法35条)との整合性、相当の利益の付与方法に関する記載が適切か確認いただきたい。
- 秘密保持誓約書と対取引先NDA(本ストアの別商品)との違いに関する第1部冒頭及び第3部前文の説明が、購入者にとって分かりやすく、誤解を招かない内容になっているか確認いただきたい。
- 第2部C-2の退職時に改めて取得する誓約書について、退職時点で新たな義務を追加することの同意取得の在り方(対価の要否を含む。)に関する記載が適切か確認いただきたい。
- 第2部D-2の情報漏えい発覚時の対応協力義務について、調査協力を求める場面での実効性及び労働者のプライバシーとの関係で記載内容に問題がないか確認いただきたい。
- 第2部E-2の役員・管理職向け追記について、代償措置を伴う退職後競業避止の設計は役員報酬・退職慰労金制度や会社法上の手続とも関わるため、本商品の解説範囲としてどこまで踏み込んだ記載にするのが適切か確認いただきたい。
- 第2部F-2の業務委託先・フリーランスへの準用に関する留意点について、本誓約書の対象が「従業員」に限られる旨の説明が十分か、フリーランス新法・独占禁止法との関係に関する言及の精度について確認いただきたい。
- 第2部G-2の情報セキュリティ規程との連動条項について、規程が未整備の企業が購入する場合を想定した注意書き(規程整備が前提となる旨)を商品説明にも反映すべきか確認いただきたい。
- 誓約書の再取得タイミング(昇格・異動・重要プロジェクト参画時等)に関する運用上の推奨方針について、購入者向けの運用ガイドに企業規模別の目安を追記すべきか確認いただきたい。